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陶器ってなんですの?

 先日、私が勤めていた会社の同期から久しぶりに電話があって、彼は私より2つ年上なので今年で定年とのことでした。

 

 もうそんな歳になっているんだなと改めて実感します。

 

 そんな彼が繰り出す話は、私に気を遣ってか、やきものとか、器とかの話題なのですが、実のところ本人の興味は薄いようで、話の中で彼が何度も「陶磁器」と呼ぶので、陶器と磁器は別の物で、陶磁器はそれらをひっくるめた総称だという説明をしたくらい。

 

 私の世代だと井上陽水さんの「白い一日」の歌詞の始まりが「まっ白い陶磁器を眺めては飽きもせず」なので、そんな刷り込みもあるのでしょうか。

 

 陶磁器専門ではなく、衣類や小物など多彩な品揃えの一部として陶磁器も売っているような店の方などは、ご存知ない方も結構おられるのも実態です。

 

 なので、この機会に「陶器とは」という大題目で一筆書きたいと思います。

 

 とはいえ、深めるとキリがないので、「陶器と磁器の違い」とか「陶器の作り方」など、例外的、特殊なものを省いた豆知識的なレベルで超カット版にまとめました。

 

 ご興味いただければ幸いです。

 

 

陶磁器って?

 ウィキでも「陶磁器とは土を練り固め焼いて作ったものの総称」と書いてありますが、これは概念としてはともかく、正しくはありません。

 

 陶磁器には材料や焼成温度が異なる、陶器、磁器、土器に加え炻器(せっき)等の種類がありますが、主原料によって2つに分けられます。

 

 土(陶土)を主原料にしたものが陶器、炻器、土器。

 

 石(陶石)の粉を主原料にしたものが磁器です。

 

 日本の伝統的工芸品に指定されている陶磁器は全国に約30地域、30種類で、沖縄県の壺屋焼もその一つです。

 

 全国に趣味として陶芸をやっている人は百数十万人で、陶芸家を含め職業としてやっている人は約7万人と認識していますが、とてもザックリした数字です。

 

 曲げや衝撃に弱く割れやすい素材ではありますが、安定した状態での耐性は高く、金属や木材などのような自然劣化は微少で、未来永劫ではなくとも1万年くらいはそのままの形を保つそうで、一般的に一度焼成したものは元の土に戻ることはありません。

 

 

磁器の特徴

 磁器の材料(磁器土)は前述のように、石英や長石など陶土よりもガラス質を多く含む陶石を細かく粉状に砕いたものを水で練ったものですので、陶土のような粘りは無く纏まりも悪いので、例えば磁器土を棒状に伸ばしたものを曲げると水分を含んでいてもサクッと折れてしまう感じです。

 

 それ故、ロクロなどでの成形作業も陶器より格段に難しいと言われます。

 

 陶磁器の中では最も高温の1300℃前後で焼きます。

 

 焼き上がった磁器は、ガラス質を多く含む性質上、薄く作れば透き通り、水は全く通しません。

 

 そんな磁器作品に求められるのは、キレの良いシャープな造形や絵柄の精緻さで、詫び寂びに通じる歪みや色むら、ヒビでさえも景色、表情として味わうような陶器作品とは対照的です。

 

 

陶器の特徴

 陶器の主原料は、カオリン、ガラス質の珪石や長石を含む土で、白土や鉄分を多く含む赤土など、各産地により主成分は大きく異なり、それが作風の特徴にもなります。

 

 単一の材料からなる磁器土とは異なり、陶土は様々なものから形成されていて、更に小砂利などの異物を混ぜても生地に馴染みやすい。

 

 陶土を成形しただけで焼き上げることを「焼き締め」といいますが、古来の土器や炻器もこの焼き締めの部類です。

 

 縄文時代などの土器は広場に小枝や薪を焚き、その中で焼いているので800℃前後、炻器は窯を使って1100℃以上で焼き、陶器は窯の技術が向上して1200℃以上で焼いています(でも、炻器と陶器の境い目は私にもよく分かっていないんですが)。

 

 温度が低い方が焼き締りが緩く、衝撃た対する強度は弱くなります。

 

 日本伝統工芸として焼き締め技法が特徴なのが備前焼です。

 

 鉄分を多く含みネットリとした質感をもつ備前の陶土は、高温で焼くことでよく締り、吸水性のある一般的な陶器とは異なり、水甕や酒壺にも使えるほどです。

 

 また、陶器の特性と磁器の特性をバランスよく得るために両方を混ぜた「半磁器土」も一般的に売られています。

 

 

陶土の現状

 陶磁器の材料となる陶土も陶石も自然からの恵みであって、他のものと同様に無限資源ではなく、100年後のために植林しようのような、人間の手で簡単に作り出せるものでもありません。

 

 全国の陶芸教室などで使用される滋賀県の「信楽土」も一部の汎用品には海外からの輸入品が使われています。

 

 私のいる沖縄のやちむんも、沖縄県内で採れる白土、赤土ともに陶土は既に枯渇状態で、物性が近似の信楽土に沖縄産の土を混ぜて「沖縄の土」とせざるを得ない状態です。

 

 沖縄産の土の割合は、白土で1割、赤土で4割と聞いています。

 

 前述のように、陶磁器は一度焼成すると元の土や石には戻せませんので、大切に使っていただきたい資源の一つです。

 

 

陶器の製作工程

 私は磁器を作ったことはないので、陶器のことだけ書きます。

 

 電気窯を使った、基本的な陶器製作の流れは下記の通りです。

 

 市販の陶土を使うなら②から始まり、素焼き後に釉薬を掛けて焼くだけなら⑨で完成です。

 

 私の作品の透かし彫りや鎬模様は⑤の段階でやります。

 

  •  ①土作り 原土のブレンド、珪砂・顔料等添加

   ↓

  •  ②土錬り 荒錬り→菊錬り

   ↓

  •  ③成形 ろくろ成形(電動、蹴ろくろ)、手ろくろ成形、手びねり成形、たたら成形等

   ↓

  •  ④乾燥(半乾き) 化粧土掛けはここか次の⑤で

   ↓

  •  ⑤削り・加工 高台成形、耳や手の装着等々

   ↓

  •  ⑥乾燥(完全乾燥) 下絵付けはここで

   ↓

  •  ⑦素焼き 700~750℃程になるまで約8時間焼成後、約12時間冷却

   ↓

  •  ⑧釉薬がけ

   ↓

  •  ⑨本焼き 1200℃~1300℃になるまで9時間以上焼成後、約20時間冷却

   ↓

  •  ⑩上絵付け

   ↓

  •  ⑪焼き付け 750~800℃になるまで7時間程度焼成、その後冷却

 

 

焼成について

【焼成の種類】

  •  酸化焼成: 酸素を送り込みながら焼成する方法。
  •  還元焼成: 窯の内部を一定時間不完全燃焼(一酸化炭素雰囲気)の状態にする方法。

 

 焼成方法を変えることで、同じ土、同じ釉薬でも含まれる成分により異なる化学変化が起きることがありますので、作者はそれらを狙って目的に合った焼成方法、温度で焼き上げます。

 

【焼成設備】

  •  薪窯: 登り窯、穴窯等、文字通り木材(薪)を燃やして焼成する窯。
  •      油分を多く含む松の木が高温で燃焼するため良材とされています。

     窯内部の温度差や薪の灰が作品に被ることで、薄緑色のガラス質による景色などが生まれるので、

     置く位置や向きが重要です。

     灰が被らないようにするにはさや鉢の中に入れて焼きます。

 

  •  機械窯:灯油窯、ガス窯、電気釜
  •      これらの窯でも簡易的な還元焼成は可能です。

 

 

【焼成温度】

 窯の中の最高温度は、素焼きで約700℃、上絵具の焼き付けで800℃前後、テラコッタ(植木鉢や瓦等)や楽焼は約900℃、土鍋など直火にかける耐熱容器は1200℃程度、陶器は1250℃前後、磁器は1300℃程度が一般的です。

 

 

陶芸を始めるなら

 ざっとこんな感じに書きましたが、「土を焼いたらやきもの」といいながらも、作者が求めるレベルによって、家事の合間に家庭用のオーブンで作れるものから、何年もの修業を要して、大きな薪窯で何人もが交代で徹夜して焼き上げるものまで、様々です。

 

 陶芸人口が減少傾向にあるというのは、私には意外でしたが、趣味で始めるにしても、初めは陶芸教室などで全般的なことは知っておいた方が無難かと。

 

 私が半年ほど通った個人運営の陶芸教室はチョッと変わっていて、毎回先生から「今日は何作りたい?」「分からないことがあったら聞いて」という感じだったので、体系的な知識や技術は何も教えてくれませんでした。

 

 それはそれで良いところもあるのですが、やはり最初は体系的なプログラムに従って教えてくれる方が後々応用が利くと思います。

 

 結局、私に菊錬りやロクロ成形の方法を教えてくれたのはYouTube動画でした←コレ重宝します。

 

 今回、成形方法には触れませんでしたが、書籍も沢山出ていますので、ご興味がある方は是非足を突っ込んでみてください。

 

 

陶芸教室の費用

 陶芸教室に通うと、月謝の他に焼成代を徴収されるのが一般的と思われます。

 

 私が通ったところは、粘土代は無料、焼成代は1g当たり5円でした(還元焼成は6円)。

 

 焼き上がったものを計量して重さ分を買い取る方式ですが、茶碗くらいで大体400gくらいですから、1つ焼くごとに2,000円掛かるということですね。

 

 最初のうちは薄く作るのが難しいので、厚くて重たくなる分高くつきますが、そのうち上手くなって薄く作れるようになるのでご安心を。

 

 粘土代や焼成代などは教室によって異なりますので、月謝以外も要チェックです。

 

 

自分で作るとなると

 自分で全ての工程を行うためには窯が必要になり、価格よりもその置き場が一番の問題かと。

 

 窯は大小にかかわらず中は1200℃以上になりますので、窯自体も熱くなり、雨風が当たらず、窯の周囲50cm程度に何もなく、室温が40℃以上になっても構わない場所が必要です。

 

 作陶のための作業場を設営するのが理想ですが、一般住宅内でやるなら、上記の窯の置き場と共に、水場も確保しなければなりません。

 

 成形中はそうでもありありませんが、釉掛けの最中は道具を洗うため水を頻繁に使うので、水場との動線は作業効率に直結します。

 

 窯の置き場や水場のことを考えると、雨風の当たるベランダでは無理でも水場のあるガレージのようなスペースなら便利だと思います。 

 

 私も現在集合住宅の普通の部屋の中で作っているので、水場だの夏場の焼成だの多難です。

 

 また、私の住む浦添市では、浦添市美術館の敷地内に市民が使える公共の機械窯がありますので、そういう公共施設を利用することも良いと思います。

 

 

本格的にやるなら

 本格的に職業としてやるなら、学校や修業で十分な知識と技術、経験や人脈などを得てから就職、開業する方が、必須とは言いませんが賢明です。

 

 私の場合は、50歳過ぎてから初めて、仕事にしたのは55歳過ぎていましたから、修業からやり直そうとは考えませんでしたが、ほぼ独学で始めた私には分からないことだらけです。

 

 「あれとこれは何が違うんだろう」とか「材料は何だろう」なんていう、誰かに聞けばすぐに分かるような素朴な疑問でも、自分で試さない限り分かりませんので、不要な時間とコストが掛かることもあります。

 

 数年前から沖縄の陶芸界に機材や材料を納めている大阪の草葉善兵衛商店さんとの付き合いが始まったので、材料に関する知識は得られるようになりました。

 

 これだけでも大助かりです。

 

 一方で、知らないことによる発想の奔放さや、所属していた工房や師匠などの既成概念、伝統やことわりに縛られないという自由さはあります。

 

 その辺は気が楽ですね。

 

 

陶芸家としてやっていくには

 次回は、趣味ではなく生業として、販売することを目的として、自分もやってみようかとお考えの方のために、製作技術や販売方法などのHowToではなく、「実際儲かるのか?」とか「初期費用は?」「ランニングコストは?」など、個人で生業にするために最低限達しなければならない売上目標など、お金の面から書かせていただこうと思います。

 

 私もまだ達していないので、現在進行中のリアル目標です。

 

 お楽しみに。

 

 

 

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