個人陶芸家として300万円の収入を得るには
【2021年8月18日のブログ記事を転載】
前回書きました、元の職場の今年定年を迎える同期との会話の中で、彼も同じ会社で再雇用か他社への再就職か、はたまた自身で何か始めようかと決めかねているようで、「陶芸家って儲かるんか?」なんていうストレートな質問もありました。
まだ生業として成り立っていない私に聞かれても、と思いましたが、それでも今の時点で、何をするにしてもこれくらいできないなら選ばない方がいいであろうということは言えるので、今回はその辺について書かせていただきます。
「陶芸家になるためにはどうすれば」とか「個人陶芸家の収入はどれくらい」とかの切り口だと、人それぞれの目的ややりたいことによって異なるので、私は逆に「陶芸家が個人事業として年収300万円を得るのに最低限の要件」というところに絞って書かせていただきます。
私自身もいまだに試行錯誤しながら、自分に合ったやり方を模索しています。
あくまで私感ではありますが、成功者の上から目線ではなく、私の周りでリアルで起こっている実体験として読んでいただければ幸いです。
年収300円を得るためにどれくらい売れば?
ちなみに、全国最低という沖縄県の平均年収が280万円くらい、アルバイトの全国平均時給が1,107円(2021年3月)からすると1日8時間、月20日間の就業で年収が約210万円になりますので、ご参考まで。
今回の記事の結論を先に言うと、年収300万円を得るためには店頭で最低でも900万円分売る必要があります。
この金額に至る根拠を、順を追って説明します。
売上と販売店マージンについて
前述の900万円は販売店などで売られる店頭価格(上代)の総額のことで、工房や陶芸家(以下:作者)から販売店に卸す代金(下代)ではありません。
では、店頭で900万円分売れた場合、卸値、つまり作者の収入はいくらになるでしょうか?
販売店のマージンといいますか、手数料は40~50%が一般的相場と認識しています。
卸しの時点で買い取るか、店頭で売れた分だけ支払われる消化払い(委託販売)でも異なるとは思いますが、百貨店、ホテルの売店、専門店、セレクトショップなど、概ねそれくらいです。
通販サイトに出品して販売する場合は、売上代金から約10~20%のシステム利用料や代金振り込み手数料などが引かれます。
また、販売店と作者の2者間取引ではなく、その間に卸業者が入れば、そこに更に50%くらいの手数料がかかりますので、作者には販売店での末端価格の30%くらいが収入ということになります。
その中で一番シンプルな取引形態と思われる、900万円分の商品を全て販売店経由の2者間取引で売った場合、取引する販売店の数にかかわらず、作者に入ってくる金額(卸価格の総額)は540万円ということになります(販売店マージンを40%とした場合)。
話は逸れますが、現在の消費税法上、売上高が年1,000万円以上でなければ申告・納税義務はありませんので、事実上非課税(免税)ということになります(ここで細かいことは書きませんが、2023年から法制度がかわりますので、詳細は税務署などにご確認を)。
今回のこの記事に出てくる数字は全て税込み価格とお考え下さい。
販売に掛かる費用
次に、それらの作品を販売店に届けるための輸送費用も無視できません。
自分で車などで運ぶ場合を除けば、宅配便などで送ることになろうかと思いますが、箱の大きさや重さには限度があり、例えば140cmサイズの箱を使用して、その中に毎回卸し価格5万円分を詰めたとすると、送料が2,000円(東京ー九州間)、梱包資材が500円、計約2,500円で、卸し価格の5%に相当します。
先の540万円を全て同様に送ったとすると、5%相当の27万円を差し引いて、この時点で513万円になります。
箱の中にどれくらい入るかというのは、もちろん作品の大きさによって大分違います。
小皿ばっかりで埋めれば200枚くらいは入るでしょうし、一方で大きな花器などなら2つくらいしか入りません。
一箱5万円分は、私の実績からして効率が良い方です。
材料費
ここからは作者側で掛かる費用です。
作品を作るには、言うまでもなく材料費と加工費が掛かりますが、陶器の場合材料費の割合はそれほど大きくありません。
陶土は20kgで3,000~4,000円くらい、釉薬も1リットルで数千円くらいでしょうか。
一つの作品、例えば茶碗くらいの大きさなら消費する陶土は500gくらいなので、一つ当たり100円程度ですが、逆に大きな作品になると4kgくらい使いますので、一つ800円くらい。
陶土や釉薬にも高価なものもありますし、金を含有する上絵の具などは数ミリリットルで万単位です。
そういう特殊なものを除いた陶土と釉薬だけなら、作るものにもよりますが、平均的には卸値の15%くらいと思います
これは、全く無駄無くやるというのは非現実的なので、その無駄や失敗分も少し加味しました。
ということで、540万円×15%で81万円。
また、材料の他に木べらやコテ、カンナ等の道具の消耗品が結構かかります。
私の場合でも毎年数万円は掛かっていますので、900万円分作るとなるともっとかかると思います。
ザックリですが5万円としておきましょう。
これらは私の実績からすると、少なめかもしれません。
ここでの材料費と消耗品費の86万円を差引いて、残り427万円。
加工費
加工といっても、殆どが焼成に掛かる費用です。
電動ロクロを使う場合は一台10万円くらいですが、メンテナンスなしでも多分10年くらいは使えると思いますので、初期費用としては掛かりますが、ランニング費用としては大したことはないので、ここでは省略します。
税務上の計算のように、償却で考えると年間1万円程度でしょうか。
大きいのはやはり窯の代金と焼成費(電気代)になります。
【窯代】
電気窯しか使ったことがないので、電気窯に絞って書きます。
電気窯の寿命は、使い方や仕様によりますが、私が使っている簡易還元焼成が可能な電気窯が60万円くらいですが、これは集合住宅の部屋に入るサイズ、搬入時に扉を通れる大きさで選んだもので、相場的には安い方と思います。
本業で使うものとしてはかなり小型です。
安い理由は、使用されている耐熱レンガや焼成のための熱線の質が低いからで、使い方にもよりますが、熱線は2年毎に交換、窯自体は5、6年くらいで買い替えを考える必要があると聞いています。
私の窯は今までのところ月3~4回の本焼成程度ですが、5年経ってもあと数年は大丈夫という見解を業者さんからいただいています。
ただし、熱線の交換には毎回約10万円掛かります。
もっと高価な窯を使用すれば、寿命は長くなり、毎回のメンテナンスに掛かる費用は材料が高価な分、高額になります。
また、購入時の搬入も処分する時の搬出も専門業者が行いますので、それぞれに10万円程度必要です。
また、茶碗が一つ焼けるくらいの小さい窯なら一般家庭の100V電源で使えますが、もう少し大きいものだと200Vの電源が必要なので、一般家庭は電気工事が必要になります。
私の場合費用は5万円くらいでした(3人掛かりで屋根裏に電線を通したりしたからかもですが)。
賃貸住居の場合は改造工事は難しいかと思います。
また、ガス窯や電気窯の簡易還元にはガスを使いますので、その場合はガス管と繋いだバーナーが窯に届いていないといけません。
私のように集合住宅内での製作を考える人は少ないと思いますが、ご存知のように、集合住宅内に灯油などの可燃物は持ち込めませんので、灯油窯は対象外です。
中型の窯でもグランドピアノ並みの200kgくらい重さがありますので、床の強度は要注意です。
脚が個々に床に触れている状態よりは、厚い木の板などを一枚敷いて、荷重を分散することをおススメします。
<錆に要注意>
業者の方によると、電気窯でガスバーナーによる簡易還元を行うと、その分内部の劣化(消耗)は増し、熱線や窯のライフは短くなるそうです。
また、電気窯の「乾燥」機能を使用したり、乾燥が十分でない作品を素焼きしたりすると、内部が結露しかなりの錆が発生することで、これもライフを短くする要因だそうです。
排気口が付いているし、高温だから水分はすぐ蒸発して問題ないように感じますが、実際は想像以上に錆が発生するようなので、ご注意ください。
【電気代】
電気窯なので、焼成には電気代がかかります。
簡易還元をするなら、更にガス代も掛かりますが、ここでは省きます。
電気窯の場合、窯の大小によって毎回の電気代はそれほど大きく違わないという見解を業者さんから得ています。
私が使っているサイズ(窯内サイズが45×45×50cmくらい)の窯で、素焼き一回1,500円、本焼成で2,500円くらいでしょうか。
チャンと測定したことはないのですが、使用後に請求される代金からすると、そのくらいかと思います。
素焼では作品の収縮がほとんの起こらず、重ねて焼くことができるので、毎度素焼き1回分と本焼成2回を1セットで仕上げるというのが効率が良いと思います。
それでいくと、毎セット6,500円ということですね。
年間900万円分の商品を作るのに、何回焼く必要があるかは何とも言えませんが、冷却も含めると1セットに少なくとも4日間掛かりますので、事実上毎週1セット以上は困難かと。
ここではマックスの月4セット焼くということで、6,500円×4=26,000円/月を電気代とします。
焼成に掛かる費用をまとめると、
【固定費】
窯代 60万円(毎月4セット焼成、5年毎に更新)
設置費 20万円(搬入と処分時搬出)
上記を毎年分に割ると、16万円/年になります。
【年間ランニングコスト】
電気代 31万円(26,000円×12ヶ月)
熱線交換5万円(2年毎に10万円)
上記を合わせて52万円。
前述の427万円からこれを差引いて、残り375万円。
作業場代
私のように集合住宅の自宅内で全てやることを考えている方は少ないと思いますし、水場など作業の利便性の面からもおススメはしません。
自宅内に作業場や窯場、製品置き場などを用意できる方は別として、自宅外に場を構えるとすると、賃借料が掛かりますので、相場は分かりませんがそれが月5万円としても、年間60万円、その他光熱費などが10万円程度とすると、合計70万円。
それらを差し引くと、305万円が残り、これが収入(給与でいう額面)ということになります。
ザックリとした計算でしたが、これが、300円を収入とするためには最低900万円分を店頭で売り上げる必要があるという計算の根拠です。
変動要素
お気づきのように、変動する要素はいくつもありますので、実情はもっと厳しい面もあると思います。
売り上げのところで、もしマージン50%の販売店さんでしたら、その分多く作って売る体制を作らないと同じ収入は得られませんし、売り上げが同じなら単純に90万円収入が減ることになります。また、逆に全てネットで販売できたら、それだけで200万円以上収入が増えることになります。
また、ネット販売をメインとする場合は、SEO対策費用等、ネット販売ならではのコストが百万円単位で必要となってくる場合があります(ネット販売については後述でも触れます)。
開業前のみならず、新しい技法や陶土・釉薬などの材料など試すための試験研究費なども実際必要です。
ここまででお伝えしたかったのはそれぞれの数字ではなく、業界の取引相場感やコスト構造、全体のボリューム感ですので、一つの目安や予備知識として起業の参考にしていただければ幸いです。
本記事の本題はここまでです。
ここから先は、私も模索中で、頭の中を整理できていないところですが、どなたにも共通する課題と思いますので、情報提供としてついでに書かせていただきます。
自問してください
コスト構造の金額で数字を追っかけましたが、今度は視点を変えて、そのために何をどれくらいの数作らないといけないのか?という面から見ていきます。
【金額から】
年間900万円ということは、毎月75万円分、長い休みなしで週一休みの25日間で作るとすると、一日当たり3万円弱の商品を作り続けことになりますが、一人でやる場合、毎日を成形だけに費やすわけにはいかないので、実際は成形する日は毎回5万円程度のものを作らないといけないことになろうかと思います。
そこで「1日に5万円分の何を作る?」という自問が必要です。
1つ1,000円の小皿を50枚作る?
1つ10万円のオブジェを2日がかりで作る?
これは自分の作家としての選択です。
【数量から】
やりたいことに沿うことも大事ですが、同時にそれを焼く窯の容量も考えて選ばなければいけません。
前述の900万円分が全て1つ1万円のものだとすると全部で900個。
毎月75個作らなくてはいけません。
1つ5,000円のものなら1,800個。
毎月150個です。
私の窯サイズだと、高さの低い小皿を一度に50~60枚くらいしか焼けませんので、毎日せっせと作っても焼く方が追い付きませんので、前述のように、毎週1セットの焼成で全てを焼き上げられる量でなければいけません。
何を作るにしても、前述の毎週焼く1セット分(本焼き2回分)の窯の中に、合計約19万円以上の商品価値のあるものが入っていないと、年間900万円にはならないということになります。
もちろん、失敗なし、全部売れたらの話ですが。
さて、何を作りますかね?
どうやって売りましょうか?
生業とするなら、作るだけでなく、当然それらを売るためにどうするかも考えないといけないのですが、ここが私も含めて、作る側の最も苦手な部分だと思います。
これも数で追っていくと、
例えば、1軒の陶器専門店で1つ1万円の作品を毎月幾つ売っていただけるでしょうか?
もし10個でしたら、900個を売っていただくのに、9軒の販売店さんとの取引が必要ということになります。
1つが2,000円でしたら、その5倍です。
私の感覚だと、1人の無名作家の作品10万円分を毎月コンスタントに売り続けることができる個人経営のお店は、何かに特化した品揃えとか、相当多くのお客さんのが出入りするお店だと思うので。そうは多くないと思います。
「何でも、幾つでも作ります」というスタンスなら、多くの販売店さんにお願いしてドンドン販路を広げていけばよいと思いますが、将来も自身の作陶の全てがそういう「安くて良いもの」だけで手一杯になってしまって良いかは、考えどころですね。
取引先の販売店さんから、安価な商品の注文を沢山いただいた場合、それは有り難いことではあるのですが、それだけで前述の製作や窯の能力や一杯になってしまうと、フル稼働フル販売しても必要な900万円に及ばなくなることもありますので、立ち上がり時期は辛くても、自分が求める全体像を念頭に入れて進める方が無難であると思います。
また他にも、地域のイベントなどに出店して自分で直接売るというのもアリですね。
陶器市とかだと、購買意欲のある人たちが集まりますから沖縄でも毎回大人気のイベントです。
出店費などは必要ですが、効率は良いのではないかと思います。
ネット販売はどうでしょう
ネット通販の方法を大きく2通りに分けます。
①Creemaやmini、メルカリやヤフオクなど既存の通販サイトに直接出品する
②独自のホームページを開設して通販機能を併設、もしくは①の既存サイトにリンクする
コスト面では圧倒的に①の方が割安です。
初期費用は不要で、システム利用料は10~20%くらいですし、サイト内に有料の広告なども出せて、何といっても、既にサイト自体に知名度やアクセスがあるので、自分の作品を見てもらえるチャンス(露出度)も一定量確保できます。
販売店との手数料率差を考慮すれば、600万円以上売れば同程度の収入は得られますが、そこだけで全量売ることができるかは判断のしどころです。
当然、出品や受注管理は自分でやりますので、仮に全てが1万円の一点物の場合、毎月50点(年600万円分)を出品するための撮影や紹介文作成、同量の出荷作業が加わります。
全部が一点物ではなく、在庫○個とかで出品できるものなら、大分楽だと思いますが。
<送料設定の注意点>
あと、私もそうしていますが、ネット販売で「1万円以上お買い物の場合は送料無料」などの設定があります。
私は沖縄から発送するのでゆうパックの80サイズで東京まで1,630円、100サイズで1,900円(2022年10月現在)掛かります。
例えば、お客さんが複数の作品をまとめ買いで合計1万円分ご購入いただいた場合、システム手数料の10%で1,000円、100サイズの送料で1,900円、段ボール箱代200円、プチプチなどの緩衝材代100円だとすると、合計3,200円のコストとなり売り上げの32%を占めます。
ということは、販売店さんに店頭で売っていただく際の手数料の40%に大分近づきます。
システム手数料が20%のサイトなら、販売店さんに売っていただいた方が収入が多くなるということです。
もちろん作品全量が送料無料対象となる可能性は低いですが、自分で個々に梱包や発送、送り状の作成などの手間や時間も考慮し、割引対象金額の設定など注意すべき点だと思います。
販売者の目線から販売サイトのヤフオクとCreemaを比較した記事は→こちら
SEO対策の有効性
前述の②ではホームページ開設等の製作費用の他に、ネットの中での露出度(検索時の表示順位)を上げるためのSEO対策も検討事項の一つです。
もちろん必須ではありませんが、ただネットにHPや商品を公開しただけでは、ユーザーが目的を持って検索した際でも、自分のサイトが相応の数の人の目に留まるようになるには大分時間が掛かるというか、至難の業というか、まず起こらないのではと思います。
一般的には、目的を持って検索をした人、つまり購入意思があって品物を探している人などがたまたま見つけたサイトで購入まで進む確率は、全体の1%程度だそうです。
私はもっと少ない気がしますが、そうだとしても、ネットで600個売るためには年間6万人、月に5,000人に訪問してもらわないといけないということですね。
その中にはブログの購読者などは含まず、購入目的で訪れた人の数が対象です。
そのため、企業などでは画面に広告を表示させたり、検索順位を上げるために毎月百万円単位を投入していることは珍しくありません。
私たち個人事業者はそこまでしないにしても、ホームページを中心としたネット通販を販売のメインとするならば何らかの対策を併せて考える必要はあると思います。
ただ私の経験から、「陶器 販売」「陶芸 通販」というような一般的なワードによるSEOの内部対策、外部対策はいずれも効果は期待できず、自分の作品の中から特化した何かを売り込むワードを選択すべきと思います。
実際私は内部及び外部SEO対策に合計200万円ほど投資しましたが、効果は全くと言っていいほど得られませんでした(決して世の中のSEO対策に効果は無いと言っている訳ではありません)。
ホームページを開設すると、私もそうでしたが、多くのSEO対策の会社、業者から売り込みが来ます。
それぞれの会社によって手法も少しずつ異なりますので、詐欺とは言えないまでも、都合の良い数値や調子の良い営業トークに惑わされずに、自分の目的に合っているか、高額な投資をする必要かどうか、費用対効果について慎重な吟味をおススメします。
特に、陶器や工芸品などのジャンルでのSEO対策の実績や成功例のない業者には要注意です。
先方には同社サービスにより期待できる効果を具体的な数字で説明させるようにして、後で「言った言わない」「効果を保証するものではない」「サービスに関する評価を公言してはいけない契約」等で揉めないように、会話を録音しておくのも賢明です。
少なくとも外部対策の場合は、業者が候補として挙げるキーワードによって実際どれくらいの検索数があるのかを実証させてから契約することをおススメします。
私の場合は、売り上げが伸びるどころかHPの閲覧数数さえ全く増えませんでした。
私の経験からのあくまで個人的私感ですが、一般的な陶芸作品を販売するならSEOの外部対策等に大枚を投じるより、ブログの標題やSNS記事本文の中にGoogleのAI検索に拾ってもらいたいワードを繰り返し入れ込んだり、InstaやTwitterでHPの訪問者や記事閲覧者の数を増やしていく方が、時間は掛かりますが着実に訪問者を増やせて、効果も伴ってくるのではと思います。
対象としている人たちに「読みたい、見てみたい」と感じてもらえるような投稿を載せることの方が販売力に直結すると思います。
お金を掛けずにできること
一方で、近年のGoogleなどの検索ロボットはAIが進歩したので、一昔前のように投稿者が内容とは関係のない人気キーワードを意図的に配置すると、検索結果から弾かれペナルティーが付くようになった反面、記載されている文字を隅から隅まで読んで内容を把握し、マッチ度が高いものを検索者に表示するようになっているそうです。
また、投稿時期は検索結果に影響しないそうなので、10年前の投稿でも内容が合っていれば検索上位に上がるとのことです。
もし皆さんもご自身や店舗、工房などのホームページやブログをお持ちなら、「つぶやき」のように短い言葉で端折らないで、伝えたい内容をシッカリと書いた方が、時間は掛かっても、ネットでの露出度、検索順位に貢献するというアドバイスを、私のHP製作会社からいただいていますので、是非お試しください←そういう自分が出来ている気はしないけど...
お客さんとしても「この人の作品が欲しい」というのも購入の理由になると思いますので、作品に関わる話だけでなく、「キャラ売り」のように自分の人となりを感じてもらえるような内容の記事、ブログだどを書き続けることも、一定の効果があるというアドバイスをHPの製作会社からいただきました。
結局は人と人同士がすること
例えばイベントで2つの店が同じものを売っていて、片方の店は、店員がいなくて、商品の実物も置いてないけれど、それぞれの商品画像を何枚も並べていて、商品や作者の説明文も分かりやすく、情報は漏れなく書いてある。ボタンを押したら後から商品が送られてくるシステム。
もう片方の店は、品揃えは限られてるけれど、実物を手に取ることができて、店員が世間話を交えて初めて見る商品やそれまで知らなかった作者について直接説明するシステム。
言わずと知れた、前者がネット販売で後者が実店舗での店頭販売の例えです(そういう店なら)。
自分の作品はどちらが売れるでしょうか?
どちらかが正解ではなくて、どちらが自分や作品に向いているかです。
もちろん両方もアリですよね。
話は少し逸れますが、私、30年サラリーマンをやって身に着いた、というか身に染みた知見が一つあります。
「仕事って、人と人がやること」
どんな職種でも、内部管理でも外回りの営業でも、経営でも、自分がすることの先には必ず人がいて、その人が自分のやったことを受け止めてくれないと仕事をしたことにはならない、ということです。
私たち作者は、作品のスペックを上げることを第一に考えますが、「私はやるべきことを全てやりました」だけでは、それは当たり前のことだし、仕事としては機能しない現実を長年見てきました。
興味はあるけれど購入意思を持っていない、自分のことや作品を知らない方々に「買う」まで思ってもらうなら、尚更です。
人付き合いが苦手な私がエラソーに言うことではないのですが、定年前の歳まで生きているオヤジの気付きです。
最後にもう一言
個人で起業しようとしている方の参考になったでしょうか?
私も道半ばどころか、始めたばっかりなので、「こうすれば良いよ」というようなノウハウが言えなくて、お恥ずかしい次第です。
どんな業種でも個人でやるのは大変なことで、最初から思った通りには運ばないのは世の常ですし、直ぐに売れ始めるとも限らないのですが、自分が進みたい道のイメージづくりの参考になれば幸いです。
いずれにしても、設備費などの初期費用、必要な収入が得られるようになるまで耐えられる資金かサイドワークは必要と思いますが、皆さんも是非足を踏み込んでください。
今回書いたのは目安や課題についてなので、ネガティブなことばかり書いて「個人陶芸家は儲からない」と言いたいわけではありませんし、実際個人事業として成り立っている方々は大勢いるのは皆さんご承知の通りです。
陶芸人口が増加に転じることを願いながら、思惑や誇張なく書きました。
長文にお付き合いいただいて、有難うございました。
注)本記事のアイキャッチ画像は「MYTTLINE」様から拝借しました。
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