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販売者によるヤフオクとCreemaの比較

【ご注意】記載内容は初回投稿当時の2023年6月時点に基づきます。

 

 私のような少量の一点もの作品を販売する個人事業者は、一定数をまとめて販売店に卸して販売していただく方法よりも、少量ずつ自分でネット販売する方が向いている、その方が利便性や収益性が高い場合があると思います。

 

 一昔前でしたら個人が直接お客さんへ販売する方法はとても限られていましたから、現代は個人事業の可能性を広げる良い環境になってきていて、有難いことです。

 

 また最近は特に、販売機能を備えたHPなどを自分で作らなくても、作品や作風の紹介はもちろん、代金決済や、送料の定額・低額のサポートサービスを提供する販売サイトも増えてますので、自分のニーズに合わせた選択ができるのも有難いことです。

 

 ここでは、以前に書いたブログ記事「個人陶芸家として300万円の収入を得るには」(後に「特集記事」へも記載)を補足する意味で、ネット販売、とりわけ私が現在利用させていただいているヤフオクとCreemaについて、私の経験から比較したいと思います。

 

 先に結論を申しますと、どちらの方が良いと選ぶことはできず、双方に利便性や有利性、不便さなどがあると思いますので、販売者(出品者)方のご参考になれば幸いです。

 

 他の販売サイトも利用したことがありますが、特筆する良い点が見つかりませんので省略いたします。

 

 では、ヤフオクとCreemaを比較するにあたり、違いが大きいと感じた点から順に書かせていただきます。

 

 細かい点については触れていませんので、詳細についてはそれぞれの利用規約やマニュアルをご覧ください。 

 

 

販売から代金受け取りまでの日数

 ヤフオクもCreemaも、購入者(以下敬称を略させていただきます)が支払いの入力をした段階で「購入」が確定し、その後出品者が発送、購入者が受け取り連絡を入力した時点で「売上確定」し、手数料等差し引いた金額が売上金として、それぞれのサイト内に計上されます。

 

 双方とも計上された売上金を「振込申請」して受け取ります。

 

 違いとしては、ヤフオクの場合「振込依頼」をすると数日後には指定した銀行口座へ振り込まれます。

 

 依頼の回数や頻度に制限はなく、毎回の振込手数料は一律100円です。

 

 手数料なしにPayPayの残高にチャージすることもできます。

 

 つまり、早ければ商品を発送してから数日後に売上金を受け取ることができます。

 

 一方のCreemaは、毎月月末締めで「売上の月額合計」が確定し、「振込申請」した翌月末に指定銀行口座へ振り込まれ、その際の手数料は下記の通りです。

 

  •  ①合計金額が30,000円未満:176円(PayPay銀行の場合は55円)
  •  ②合計金額が30,000円以上:275円(PayPay銀行の場合は55円)

 

 つまり、例えば6月中に購入者が受取り連絡をし売上が確定しても、受け取れるのは早くて7月末になります。

 

 もし、購入者が受取り連絡の入力を7月に入ってから行なった場合は、当該代金の受け取りは8月末になります。

 

 購入者が受取り連絡を行わなかった場合は、Creemaでは発送から15日目に自動的に売上に計上されますので、最悪の場合、私にも実際ありましたが、月の中ごろに発送してから2ヵ月半ほど代金を受け取れないこともあります。

 

 受取り連絡を入力しない利用者も多く、今までの経験では、月の後半にご購入いただいた商品代金の受け取りは大半が2ヵ月後になっています。

 

 Creemaでは、確定済みの売上を申請の翌営業日に受け取れる「スピード振込」のサービスもありますが、手数料が3.56%掛かり、前回の振込日から15日経たないとスピード振込の申請はできません。

 

 

発送作業と送料

 ネット販売のコストで重要なのが宅配便等の送料です。

 

 「〇円以上のご購入で送料無料」をうたう場合、特に収支に大きな影響を与えます。

 

 ヤフオクの「おてがる配送」は一般的な方法で送るよりも安価な全国一律の送料ですから、購入者、出品者どちらが負担するにしても、とても安い金額です。

 

 実際私が利用している「ゆうパック」での発送を例に比較します。

 

 私のように沖縄から東京まで送る場合、Creemaですと一般的な送料ですので、60サイズで1,350円、100サイズで1,900円ですが(2023年度10月から約10%値上げ予定)、ヤフオクの「おてがる配送」だと、現在は全国一律60サイズが700円、100サイズは1,000円で、その差はとても大きいです。

 

 ただ実際は、ゆうパックの「スマホ割」のアプリを利用すると、利用数にもよりますがCreemaの場合でも実質2割程度安く送れます(元払いのみ)。

 

 ヤフオクもCreema(というより一般的なゆうパックでの発送)でも、スマホのアプリを利用すれば、紙の伝票を書く必要はなく、どちらも郵便局に設置されている専用機にQRコードを読み込ませれば伝票を出力できます。

 

 ここでも違いがありまして、ヤフオクは匿名配送で送り先情報の入力は一切不要ですが、Creema(一般的なゆうパック発送)では、送り先の氏名や住所、梱包サイズなどの情報を事前にアプリに入力する必要があります(リピートの場合は履歴から呼び出せます)。

 

 この専用機械については、ゆうパック用は郵便局にしか設置されておりませんので、スマホ割を利用する場合は、郵便局の営業日のみ発送が可能ということになります。

 

 ちなみに、ヤマトの宅急便を利用する場合はコンビニに設置されている機械でも出力できるそうですが、私の経験からコンビニの定員は「割れ物」や「逆さ厳禁」等の注意シールの貼り方などの基本的な宅配便業務の知識が乏しい人が多く、特にレジに表示される余裕をもった「配達予定日」を「配達指定日」の欄に書き込んでしまい、そのため配達先の最寄りの郵便局で無駄に数日間保管されることなどもあり、私はコンビニからの発送はしておりません。

 

 送料の話に戻りまして、ヤフオクは送料の「出品者負担」か「購入者負担」かを選べますが、「購入者負担」にすると一般的な金額と同等の送料となります。

 

 また、ヤフオクで同時に複数の品を購入いただき、それぞれの販売価格に送料が含まれていた場合でも購入者が支払う金額は単純合計額なので、まとめて梱包した際に出品者が実際に負担する送料よりも受取る送料分の方が多くなります。

 

 一方でCreemaでは「〇円以上の購入で送料無料」や複数購入の際の追加送料などを設定する機能があります。

 

 販売サイトに支払うシステム利用料は販売価格に課せられますので、ヤフオクの「出品者負担」で送料込みの金額にした場合は、送料分のシステム利用料も支払うことになりますが、この点については後述の「システム利用料」でも触れます。

 

 

注文生産への対応

 時々、お客様から作品に対するお問い合わせや、製作依頼などをいただきますが、Creemaにはそれらに対応する機能が備わっているものの、ヤフオクにはありません。

 

 ヤフオクでは現物が手元にないものは出品できません(禁止事項)ので、受注生産できないとまでは言いませんが、かなり難しくなります。

 

 Creemaにはご利用者から出品者への「質問・オーダー」の機能があり、そちらを使って画像の提示や金額、納期等のやり取りが可能で、更に最近、「支払いから発送までの日数」が細かく、長く設定できるようになりましたので、先払いによる受注生産も容易となり、双方により使いやすくなったと思います。

 

 一方ヤフオクにも、出品中の作品に「質問」の機能がありますので、そちらからご注文などをいただくことはできますが、当該ページの出品終了に伴って「質問」は消去されるため、その後は出品者から発注者へ完成の連絡などをする方法がありません。

 

 前述のとおり、ヤフオクでは「現物が手元にないものは出品不可」ですので、前払いによる受注生産はできません。

 

 「質問」でのやり取りで事前に出品時期などを打ち合わせておき、完成後に「〇〇様専用ページ」として出品すれば、発注者がそれを見つけて購入することは可能と思いますが確実性は担保できず(少なくとも私は、この方法で今までに依頼者からご購入いただけたことは一度もありません)、事実上、ヤフオクは注文による出品(販売)に対応しない意向と理解しています。

 

 

システム利用料

 出品する販売サイトを選ぶ際はこの項目を一番最初にチェックすると思いますが、実際のコストメリットは前述の送料や入金手数料などを含めた全体で判断することが必要と思います。

 

 現在のシステム利用料は下記の通りです。

 

 ヤフオク:販売金額(税込)×8.8%(2024年6月からプレミアム会員、非会員一律10%に変更)

 

 Creema:販売金額(税込)×11%

 

 2.2%の差ですから、10,000円のものを販売した際の差は220円です。

 

 ヤフオクで安価な送料を適用するために、送料出品者負担(送料を加算した価格)とした場合、例えば80サイズの800円を足して、10,800円の8.8%で950円、送料を含まないCreema価格での1,100円との差は、150円になります。

 

 Creemaには利用するための会費などはありませんが、ヤフオクのプレミアム会員費は月額508円、自動車など特定品には出品ごとに3,080円掛かります(3回までの自動再出品には掛からない)。

 

 

出品作業

 出品作業自体には双方に大きな違いはないと思いますが、大きな違いが発生するのは「内容を修正する」時と、3週間以上出品を継続する時でしょうか。

 

 ヤフオクは一旦出品すると、末尾に追記はできますが記載済み内容の変更や修正はできません。

 

 本文等の修正をする際は出品を取り消して再出品することになりますが、その際でも画像の追加や変更はできません。

 

 画像を置き換えするには、別途新規に出品する必要があります。

 

 また、出品時の設定により最長3回の自動再出品(1週間ごとに再出品)ができますが、当該期間を経過したものは一旦出品終了となり、再度出品するには一つずつ再出品作業をする必要がります。

 

 一つの再出品作業で最低でも(出品終了日時をいじらなければ)数回のクリックが必要なので、100点の出品を再出品する場合は数100回ほどのクリック作業が必要ということです。

 

 一方Creemaの方は、出品中に自由に画像の入れ替えや説明文の内容を修正でき、定期的な更新作業なども要りません。

 

 

相手への評価

 世の中にはいろんな人がいるもので、ネット販売で私が買う側の立場でも、「おいおい」と思うようなことは珍しくありません。

 

 顔を見せなくてよい相手同氏の自重を促す意味で、取引後に双方を「評価」することにも一定の効果はあるのかもしれません。

 

 ヤフオクの場合は、出品者、購入者(落札者)双方に相手評価やブロック、ブラックリストなどの機能がありますが、Creemaには購入者が取引終了後に出品者による評価に対して返信する機能のみです。

 

 出品者による評価が無ければ返信もできません。

 

 実際の例として、Creemaで注文をいただき、完成後に連絡をしても無反応でそのままたち切れになるケースが最近連発していますが、こういう場合は出品者としてなす術はありません。

 

 これついては、ご注文をいただいた時点でお客様の専用ページを作成し、先に購入手続きをしていただいた上の受注生産(先払い)とすることである程度抑制可能かと思いますが、その場合でも、仮に発注者から購入後にキャンセルの依頼がきたとしても、「購入者都合」となるだけで購入者には全額返金され、キャンセル料などのペナルティなどは課せられません。

 

 相手を批判する、罰を与えるような機能を設ければ、それを利用して自己保身のための仕返しや開き直りの中傷、八つ当たりのような悪意のある「評価」などを生んでしまいそうで、何もしないに越したことがないのかもしれませんが、出品者が自身の信用や利益を守るための機能、利用者を制限する機能などある程度あった方が良いと考えます。

 

 「出品者都合」のキャンセルについては、「Creemaの問題点」で後述いたします。 

 

 

商品のPR

 ヤフオクはスマホなどで買いやすいように、商品の画像だけを並べて、作者や製作場、作風やコンセプトなどの紹介や解説はプロフィールの文章のみにとどめていて、出品者のHPのような画面構成だったヤフーショッピングも2020年から商品羅列の画面仕様になりました。

 

 その点Creemaの方は、簡単ではありますが画像付きで製作者についての説明や作風解説などを記すことができる構成になっていますので、PC向けや紹介したことがある出品者には良きと思います。

 

 Creemaは他にもイベントの開催案内や、特集商品のプロモーションの他、私は利用したことはありませんが、無料、有料含めてCreemaサイト内でのオプティマイゼーション機能が備わっています。

 

 

画像の鮮明さ

 ヤフオクとCreemaでは、同じ解像度やサイズの画像を載せても、画像の鮮明さが大きく異なります。

 

 ヤフオクは粗く、Creemaはオリジナル画像と同等に鮮明に表示されます。

 

 両方を比べると同じ作品の印象が大きく異なりますので、繊細な色や造形を売りにした作品の場合は要注意です。

 

 

出品者の立場の違い

 ヤフオクとCreemaでは、それぞれにおける我々出品者の立ち位置は大きく異なります。

 

 ヤフオクは、販売者(出品者)と購入者(落札者)の取引(販売)を仲介する中立の役割なのに対して、Creemaでは購入者への販売者はあくまでCreemaであって、我々出品者は販売者に商品の提供をしている立場です。

 

 やっていることは双方ほとんど同じではあるのですが、基本的な立場はそれぞれで異なるように感じます。

 

 そのため、細かい点ではありますが、出品者による領収書の発行はCreemaの規定により禁じられています(Creemaによる領収書は購入者が発行できる機能があります)。

 

 また、ヤフオクでは、前述のように出品者が購入者への評価を行ったり、取引したくない相手をブロックする機能などがありますが、Creemaでは同様の機能はありません(購入者からの評価に対して、返信することは可能です)。

 

 つまり、ヤフオクにおける出品者と購入者の立場は公平なのに対し、Creemaでは購入者の負担を極力減らし、出品者の方が購入者の不備による負担を負う仕組みになっていると認識しています。

 

 後述の「Creemaの問題点」もその一環と考えます。

 

 

Creemaの問題点

 ここまでの項目では、それぞれの特徴や差異を客観的に並べるだけにしてきましたが、この項目ではそれらとは異なり、私の個人的な評価として書かせていただきます。

 

 現在Creemaのルールでは、購入者が商品をカゴに入れ支払いを行い「購入」が確定した後に、出品者都合でキャンセルする場合は、通常の購入時と同様の11%のシステム利用料をCreemaへ支払う義務があります。

 

 ちなみに、購入者都合によるキャンセルでは購入者には何の負担もありません。

 

 ここまではいいのですが、問題はここからです。

 

 別のケースで、購入者が複数の商品を「購入」した後に、その内の一部に破損などの不備があり、その分のみをキャンセルしたい場合でも、全ての商品を出品者都合でキャンセルしなくてはならず、個々の商品について個別のキャンセルはできません。

 

 システム利用料も同様に全ての商品分を支払わなくてはいけません。

 

 そして、一部をキャンセルしたい旨を購入者に伝え、良心的な購入者が当該品を除いた他の商品を再度購入していただいた場合、それらにも再度システム利用料の支払いが発生します。

 

 つまり、同じ商品に対して二重にシステム手数料を課していることになります。

 

 Creemaのシステムが複数購入の場合に個々の商品を個別にキャンセルできれば、このようなことは起こりませんので、複数購入時の一部キャンセルにおける、当該品以外のキャンセルは出品者都合ではなく、Creemaのシステム都合、不備であると考えます。

 

 購入者が購入した商品の一部のキャンセルを希望した場合も同様に、同時に注文した他の商品含めてキャンセル扱いとなりますが、「購入者都合」の場合はシステム利用料はどちらにも課されません(キャンセルは出品者による作業でのみ可能)。

 

 昨年12月にCreema事務局へ「改善要請」を申し入れ、現状の合理性についても説明を求めましたが、「ペナルティーについては種々検討した結果、現在のルールになっている」との回答のみで、合理性の説明や改善の意向は示されませんでした。

 

 私としては、本件については「不当な請求」と認識していますので、問題点として出品者の方々に注意を喚起します。

 

 金額や数が大きくなければまだしも、キャンセル後に購入者に再購入していただける確証もないので、安易に正直にキャンセルする前に購入者と相談することをおススメします。

 

 私には得策は浮かびませんが、購入自体はキャンセルせずに、キャンセルしたい分の代金を現金で購入者へ返金するなどした方が良さそうですね。

 

 何か良い対処方法がありましたら、ご教授ください。

 

最後に

 冒頭でも書きましたが、ヤフオクとCreemaのどちらかをススメするとかではありませんので、私の経験から気づいたことを、極力客観的に書かせていただきました。

 

 私もそれぞれを使いこなしているとは言えませんし、使わずにもったいないことをしている機能などもあろうかと思いますが、出品者方のご参考になれば幸いです。

 

 

※本記事は「特集記事」にも掲載しております。

 

 

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